■　第58回　阪神ジュベナイルF

　レース直前のパドックでウォッカが非常にいい気配みえました。
案の定、ゴール前猛追。逃げ切り計るアストンマーチャンを交わして見事な差し切り勝ち。
新阪神コースの妙をまざまざと見せつけられました。
この素晴らしい切れ味は春に向けても楽しみな存在です。

　スムーズに競馬を進めながら、最後に差されたアストンマーチャン。
微妙に伸びた距離は関係ないと思われるが、最後の直線で追いつける馬の存在が見抜けなかったといったところ。
決して力負けとはいえないが、これ以上の距離延長にはやはり脚質上、厳しいのかも知れません。

　３着には素質馬ルミナスハーバー。一時はアストンマーチャンの２着で決まりかと思われたところを外からすごい脚で勝ち馬が抜き去っていきました。それでも心配された馬体減からの立て直しがありました。こちらも先には期待がもてるでしょう。

　終わってみれば、ほぼ波乱のない上位決着となりました。波乱がないのも面白味には欠けますが、今後の阪神外回りコースはやはりほぼ力通りの結果が出ると考えても良いでしょう。

　■　第58回　阪神ジュベナイルF　予想

　なんといっても今回の注目は新設の阪神外回りコース。ゆったりとしたコーナーと長い直線は、特に1600m戦でのこれまでの有利不利をかなり改善したといってもいいだろう。ただ、阪神のゴール前には坂がある。仕掛けどころを誤ると、逃げ先行馬には辛い展開が待つ、タフなコースとなった。

　このレースまでのステップレースに適当なものはファンタジーSのみ。当然、そこで勝利した馬が人気になっていたが、京都から阪神にかわることで、人気馬があっさりと惨敗し、しばし波乱を呼んできた。しかし、この新コースにおいては、紛れが少なく実力が素直に反映されやすい。そうなるとやはり中心はファンタジーS組となりそう。

　そのファンタジーSでは、気性的に距離不安と先行脚質が嫌われ、3番人気に甘んじたアストンマーチャン。しかし、蓋を開けてみると鳥肌が立つようなレコード圧勝劇を演じてみせた。今回は一転、手のひらを返したような圧倒的1番人気になる。まだ根拠となるデータも少なく、依然不安は解消された訳ではないが、あのレースを見たものは、やはり逆らう気は失せてくる。かかることがなく、中団でレースを進めることができれば…との条件付きではあるものの、勝利に最も近い馬であることは間違いない。

　ファンタジーSで1番人気だったのはハロースピード。馬群に揉まれ、入着はないかとも思われたが、3着まで食い込んできた。勝ち馬ははるかむこうではあったが、その根性と末脚は信頼に足るものと判断できた。今回の新阪神コースはこの馬にとっては望ましく、巻き返す余地は十分にありうる。

　アストンマーチャンがファンタジーSを圧勝したことにより、どうしても別路線組に目がいきがちではあるが、これといった候補が見あたらない。もちろんまだ２〜３戦で判断材料に乏しい点もあるが、その中ではルミナスハーバーの2走前のレコード勝ちは異常ともいえる秀逸なタイム。馬体減とともにレースを行うごどに基準タイムが落ちている点が気になるところだが、目一杯の競馬をしていない楽勝であったことを考慮すれば、この舞台で大物誕生の不気味な雰囲気を感じさせる。

　ここでは4番手評価に落としてはいるが、来年以降にも楽しみが持てるのはイクスキューズ。安定したスピードと勝負根性を持つ先行馬。仕掛け次第では、他馬を出し抜くことは可能。距離への不安もないことも武器となる。大きく着順を落とすことは考えにくい。

　上記４頭以外はかなり未知数。思わぬ馬の好走も考えられる背景ではあるが、やはり差し、追い込み馬が魅力に映る。
ウオッカ、クラウンプリンセス、ジーニアス、ローブデコルテあたりを穴馬候補に挙げておく。

【馬券と総評】
　 ファンタジーS上位組が中心とはなるとはいえ、大敗からの巻き返しも無いとは言えず、アストンマーチャンが人気を集めることを考えると、意外に馬券的には難しい。大きな勝負には出にくいところではあるが、馬連ならアストンマーチャン流し。オッズ次第ではボックス馬券も考慮にいれたい。3連単の場合はひとまずアストンマーチャンの軸は不動でよいだろう。ハロースピード、もしくはルミナスハーバーとの2頭軸マルチ。