予想本文
ダービー馬不在ということもあるが、春の実績馬が今ひとつ信頼の置けない状況。
それまでの2戦、ダービーと皐月賞が全く異質なレースになっただけに、地力をはかる術がない状況がさらに混戦に拍車をかけている。
また、夏の上がり馬も面白そうな新勢力が台頭してきており、近年、波乱の傾向のあるこの菊花賞は今年も希に見る混戦となった。
一番のポイントはやはり3000mという長距離ということになるが、純粋なスタミナというよりも、スローペースを我慢できる気性の安定感が最も重要なファクターになる。
本命には前走、神戸新聞杯で春実績馬に完勝したイコピコ。
前走以外の実績は不足しているが、春の3強のうち2強が揃ったレースで、スローの上がりの競馬になったにも関わらず、後ろからレコードで差し切り勝ちした実力はフロックでは説明がつかない。
確かに春実績馬は休養明けではあったが、相手うんぬんを度外視しても、この馬自身の能力がいかにも菊花賞向きに思えた。
とにかく気性が非常に安定しており、特にスローペースでの瞬発力には確実なものがある。
中距離で速いペースになり、道中脚を使わせられる形になると今ひとつのところはあるが、スローになった際には確実に33秒台の脚を繰り出してきている。
今回も前走と全く同じような展開・ペースになる可能性が高く、必然的に本命候補になる。
ただ、過去出遅れで失敗しているケースがあるので、そのあたりが心配も発馬5分なら前走の再現は十分にありえる。
対抗格には以前から「菊花賞ではこの馬か!」と思わせていたアドマイヤメジャー。
先週のブエナビスタ降着で安藤勝騎手の乗り替わりで鞍上が懸念されたが、川田騎手ならそう大きなマイナス材料とはいえないだろう。
ただ、問題は外枠を引いたこと。
3000mの長丁場を終始外を回らされたのでは、さすがにレースは終わる。
そのため、できるだけ早い段階で上手く内に潜り込む必要があり、そのあたりを新鋭ジョッキーがどう捌くかがポイントになりそう。
典型的な夏の上がり馬といえ、本命馬と同じく気性に安定感があり、長くいい脚が使えるこのレース向きの馬。
前走は位置取り悪く後手を踏んだが、本来前で競馬する馬だけに、今回前走と同じ展開にさえならなければ、前走最速の上がりを叩き出した実力が物を言う。
春の実績馬で最上位はリーチザクラウン。
逃げ馬だけにモロさが残るが、無理に控えたレースをするより気分良く先頭を走った方が実力発揮できるタイプ。
今回は他に逃げ馬がなく、この馬がペースを握ることになる。
最近では気性もかなり安定しており、おそらく超スローな展開に持ち込むことになるが、余力を残して直線に入れば、逃げ馬ながら簡単に潰れない力がある。
減っていた馬体重も、発表された調教後体重を見る限り、しっかりと戻しているようだ。
菊花賞での逃げ切りは至難の業だが、そこは「長距離は騎手で買え」の格言通り、名手の腕に頼ることになるだろう。
地力や素質的なものでは、トップクラスに位置するとみているが、逃げ脚質であることはこの馬の最大の長所であり、また短所でもあると言えよう。
その不安定さを考慮してこの印に留めた。
単候補には微妙だが、確実に上位には留まってくれそうだ。
春は期待されながらも、今ひとつ地味な成績に終わったナカヤマフェスタだが、ここでは通用する下地が十分にある。
関東馬はこのレースとの相性はあまりよいとは言えないが、前走のロングスパートでの勝利には好感が持てた。
何より、着差僅かながらも勝ったことに非常に意味があったといえる。
最もその分、人気になるので歓迎ばかりもしてられないが、早めに先頭に並べばスタミナには自信があるだけにそう簡単にバテることはないだろう。
皐月賞、ダービーとも本命にしていたアンライバルドは、ここまで評価を落とした。
そのくらい前走は不甲斐ないものだった。
もちろん休養明けだったという言い訳はあるのだが、絶好の位置・展開でありながらイコピコに全く抵抗できずに抜き去られてしまった。
何より課題の折り合いを欠いたことは、大きなマイナス点に映った。
思うにこの馬の特徴として、世代随一の瞬発力を有するが、あまり長い時間は使えないところにある。
ある程度早い流れで他馬が脚を使ってくれないと苦しいという意味では、中距離くらいが最も適しているのではなかろうか。
無論、母はバレークイーン(父サドラーズウェルズ)なのだから、スタミナにはなんら問題はないのだが、兄フサイチコンコルドの菊花賞以降の成績を考慮しても強気にはなりにくい。
とにかくこの馬の課題は折り合いにつきる。
一度使ったことで気性が安定さえすれば、当然圧勝も考えられるので、すっぱりと切りきれないが、今回は馬券的にはヒモ候補まで。
距離に不安は残るが、前走で目処を立てたセイウンワンダー。
他有力馬とほぼ互角の実力でありながら、地味な存在なので馬券的には旨味が大きいタイプ。
混戦になってもしっかりと自分の競馬をして上位に入ってくるので、馬券対象からは外しにくい存在。
ゴール前混戦になれば、こっそり入着しているという光景が目に浮かぶ。
母エアグルーヴ、父ダンスインザダークで、何故ヤネが武豊騎手でないのかと言いたくなる超良血フォゲッタブル。
勝ち味に遅く、出世は遅れたがようやく軌道に乗ってきた感。
それだけで手を出すにはまだ早いが、前走はしっかりと伸びてきており、成長著しく感じた。
穴人気している点は気に入らないが、ここで先物買いも悪くないだろう。
絶好の穴狙いとしてはヤマニンウイスカー。
父はかつてこのレースで開花したマンハッタンカフェで、奇しくも本命イコピコと同父。
秋にかけての成長力と距離適性は言うまでもない。
休養明け初戦が大敗だが、挟まれての大きく出負けがあり、道中不利もあって全く競馬をしていない状態での結果。
つまりは現時点の力は未知数の状態であって、ここであっと言わせる要素を秘めている。
前走は大敗してしまったアントニオバローズだが、まだ見限るには早計か。
特に調教過程が素晴らしく、坂路49秒台を連続で叩き出している。
大きな変わり身までは疑問も残るが、この調子の良さはさすがに無視できない。
【馬券と総評】
過去堅いレースとして有名だったこのレースもすっかり波乱の代名詞的レースに様変わりした。
今年も例に漏れず、相当な混戦模様で予想は非常に難しい。
なかなか取捨が難しく印も相当に多くなってしまった。
さらにこれだけ印を打っても、まだ思わぬ伏兵馬の台頭も考えられる状況ではある。
基本的には素直に予想したつもりだが、やはり春の実績馬より夏の上がり馬の方が、魅力に溢れている感がある。
無論、リーチザクラウンやアンライバルドなどが上位を賑わす結果も十分に考えられるが、オッズを考慮すれば、どこかで割り切りも必要だろう。
春実績馬にはそこまでの信頼は置けないと言わざるを得ない。
ならばそれらを並ぶ間もなくかわしきったイコピコを本命に据えた。
これだけの混戦だと手広く行く必要が出てくるので、軸はしっかりと据えたい。
推奨としては、やはり馬連イコピコ流しが妥当。
可能なら総流しも視野にいれたい。
3連単なら、イコピコ-アドマイヤ、イコピコ-リーチザクラウンの2頭軸マルチ流しか。
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